税務署から「税務調査に伺いたい」という連絡があると、多くの経営者の方は「当日は何をされるのか」「何を準備しておけばよいのか」と不安になります。税務調査は、流れと調査官が確認するポイントを知っておくだけで、落ち着いて対応しやすくなります。本記事では、税理士法人横浜キャピタル税務事務所が、事前通知を受けてから調査当日、調査終了後の手続きまでを時系列で整理し、各段階での対応のポイントと避けたい失敗を解説します。

税務調査の全体の流れ

一般的な中小企業・個人事業主の税務調査は、次のような流れで進みます。期間はあくまで目安で、事案の内容や指摘事項の有無によって前後します。

段階主な内容期間の目安
事前通知税務署から電話で調査の日時・対象税目・対象期間などが伝えられる調査日の1〜2週間前程度が多い
準備帳簿・書類の確認、税理士との打ち合わせ通知から調査日まで
臨場調査(当日)事業内容のヒアリング、帳簿・書類の確認個人で1〜2日、法人で2〜3日程度が一般的
追加確認追加資料の提出、質問への回答、必要に応じて取引先等への確認数週間〜数か月
結果説明・終了指摘事項の説明、修正申告または更正、問題がなければ終了の通知調査開始から1〜3か月程度で終わることが多い

事前通知を受けたらすぐにやること

事前通知では、調査を始める日時と場所、調査の目的、対象となる税目と期間、確認する帳簿書類などが伝えられます。税務代理を行う税理士がいる場合は、税理士にも通知されます。通知を受けたら、次の点を確認・実行してください。

  • 通知内容をメモする:担当部署・担当者名、対象税目、対象期間(通常は過去3年分程度)、希望日時
  • 税理士に連絡する:顧問税理士がいればすぐに連絡し、立会いの可否と日程を確認します。顧問税理士がいない場合も、この段階で依頼先を探すのが望ましいです
  • 日程を調整する:業務上の都合など合理的な理由があれば、調査日の変更を申し出ることができます
  • 帳簿・書類を揃える:対象期間の総勘定元帳、仕訳帳、請求書、領収書、契約書、通帳、給与台帳などを年度別に整理します
  • 申告内容を見直す:明らかな誤りが見つかった場合、調査前に修正申告をするかどうかを税理士と相談します

事前通知の後でも、調査で指摘を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税は原則の10%ではなく5%に軽減されます(期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は10%)。誤りに気づいた場合は、早めの判断が有利になることがあります。

調査当日の一般的な流れ

午前:挨拶と事業概要のヒアリング

調査は午前10時頃から始まることが多く、調査官は1〜2名程度で来訪するのが一般的です。最初に身分証明書の提示があり、調査の目的が説明されます。その後、会社の沿革、事業内容、取引先、売上の流れ、経理の担当者、お金の管理方法などについて質問されます。この雑談のようなヒアリングも調査の一部です。事業の流れを簡潔に説明できるよう、事前に整理しておきましょう。

昼休み

調査官は昼食の接待を受けないため、昼休みは外に出るのが通例です。食事や手土産を用意する必要はありません。昼休みの間に、午前中の質問内容を税理士と振り返っておくと、午後の対応がスムーズになります。

午後:帳簿・書類の確認

午後は帳簿と書類の確認が中心となり、夕方4〜5時頃に1日目が終了するのが一般的です。調査官が重点的に確認するのは、次のような項目です。

確認項目見られやすいポイント用意しておきたい資料
売上計上漏れ、決算期末前後の計上時期のずれ請求書控え、納品書、通帳、レジ記録
外注費実態が給与ではないか、架空の外注ではないか業務委託契約書、請求書、成果物
役員報酬・給与定期同額になっているか、家族への給与に勤務実態があるか株主総会議事録、給与台帳、勤務記録
交際費・会議費私的な支出が含まれていないか領収書、相手先・目的のメモ
在庫期末の棚卸が正しく計上されているか棚卸表、仕入記録
貸付金・仮払金役員との資金のやり取りの性質金銭消費貸借契約書、精算記録

調査官から、机の引き出しや金庫、パソコン内のデータなどを見せてほしいと求められることもあります。税務調査は任意調査ですが、納税者には質問に答え、検査を受け入れる義務があり、正当な理由なく拒むことは罰則の対象にもなり得ます。私物が混在している場合などは、その場で税理士に相談しながら対応しましょう。書類の持ち帰り(預かり)を求められた場合は、預り証を受け取り、コピーを手元に残しておくと安心です。

2日目以降と追加の確認

2日目以降は、1日目に気になった取引を中心に、より詳しい確認が行われます。臨場調査が終わった後も、調査官が税務署に持ち帰って内容を検討し、電話などで追加の質問や資料の提出を求めてくるのが一般的です。回答期限が示された場合は、税理士と相談しながら期限内に対応しましょう。また、必要に応じて取引先や金融機関に取引内容を確認する「反面調査」が行われることもあります。取引先に迷惑をかけないためにも、自社で資料を揃えて説明できる状態にしておくことが大切です。

当日の対応で避けたい失敗

  • 推測で答える:記憶が曖昧なことをその場で断定すると、後で訂正しにくくなります。「確認して後日回答します」と伝えて構いません
  • 聞かれていないことまで話す:質問には正確に答えることが基本ですが、不確かな話を広げる必要はありません
  • 書類を処分・書き換える:調査前に書類を破棄したり内容を改ざんしたりすると、仮装・隠蔽と判断され、重加算税(35%または40%)の対象となるおそれがあります
  • 感情的になる:調査官と対立しても結果は良くなりません。争点がある場合は根拠資料をもとに冷静に説明します
  • 内容を理解しないまま書面に署名する:調査官が質問と回答を記録した「質問応答記録書」への署名押印を求められることがあります。署名は義務ではなく、内容が事実と異なれば訂正を求めることができます

調査終了後の手続き:修正申告と更正の違い

調査で問題がなければ、「更正決定等をすべきと認められない旨の通知書」が届いて終了します。誤りがあった場合は、調査官から指摘事項の内容と金額の説明があり、修正申告を勧められます。このとき、修正申告に応じるか、税務署の処分(更正)を受けるかを選ぶことになります。

項目修正申告更正
手続きをする人納税者が自分で申告書を提出税務署長が税額を決定して通知
不服申立てできない(更正の請求は可能)再調査の請求または審査請求ができる
終了までの期間比較的早く終わる処分までに時間がかかることがある
向いている場面指摘内容に納得できる場合事実関係や法解釈に争いがある場合

修正申告をすると、その内容について後から不服申立てで争うことはできません。指摘に納得できない点がある場合は、修正申告に応じる前に税理士と十分に相談してください。いずれの場合も、不足していた本税に加えて加算税と延滞税を納める必要があります。延滞税は納付が遅れるほど増えるため、追加の納税額の見込みがわかった段階で資金の手当てを考えておきましょう。一括での納付が難しい場合は、税務署に分割納付などの相談をすることもできます。

調査当日までの準備チェックリスト

  • 対象期間の決算書・申告書の控えを手元に用意した
  • 総勘定元帳と請求書・領収書・通帳を年度別に揃えた
  • 電子データで受け取った請求書等をすぐに表示できる状態にした
  • 主要な取引先と取引の流れを説明できるようにした
  • 役員報酬の決議書類、給与台帳、外注契約書を確認した
  • 調査を行う部屋(帳簿を広げられる机)を確保した
  • 税理士と想定される質問について打ち合わせをした

そもそもどのような事業者に調査が入りやすいのかについては、税務調査が来る確率と今すぐできる備え方で解説しています。また、税理士が関与しているかどうかで調査の進み方がどう変わるかは、税務調査で顧問税理士がいる場合といない場合の違いをご覧ください。

よくある質問

Q. 調査の日程は変更してもらえますか?

A. 業務の繁忙や体調、税理士の都合など合理的な理由がある場合は、税務署と協議のうえ日程を変更できることがあります。通知を受けた段階で早めに申し出ることが大切です。

Q. 調査の場所は自宅でなければいけませんか?

A. 原則は事業所や帳簿書類を保管している場所で行われます。個人事業主で自宅が事業所を兼ねている場合は自宅になることが多いですが、事情によっては税理士事務所などで行えないか相談できる場合もあります。

Q. 事前通知なしで調査官が来ることはありますか?

A. 現金取引が多い業種などで、事前に通知すると正確な事実の把握が難しくなると判断された場合には、通知なしで調査が行われることがあります。その場合でも、税理士への連絡や立会いを求めることは可能です。まずは身分証明書を確認し、税理士に連絡してください。

Q. 通知が来てから税理士に依頼しても間に合いますか?

A. 間に合うことがほとんどです。ただ、帳簿の確認や資料の整理には時間がかかるため、通知を受けたらできるだけ早くご相談ください。当事務所では、税務調査の立会いを1日77,000円(税込)、修正申告を1事業年度あたり個人110,000円・法人165,000円(税込)で承っています。料金の詳細は料金案内をご覧ください。

まとめ

税務調査は、事前通知、準備、臨場調査、追加確認、結果説明という流れで進みます。当日は事業概要のヒアリングから始まり、売上・外注費・役員報酬・交際費などが重点的に確認されます。推測で答えない、書類を処分しない、修正申告に応じる前に内容を確認する、という基本を押さえておけば、必要以上に不安を感じることはありません。

税理士法人横浜キャピタル税務事務所は、横浜市西区浅間町(横浜駅徒歩圏)にあり、弁護士法人横浜キャピタル法律事務所と同一グループの税理士法人です。事前通知を受けた段階からの準備、当日の立会い、修正申告まで対応しています。ご相談は対面またはZoomなどのオンラインで承っています。

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