税務調査で申告漏れを指摘されると、本来納めるべきだった税金(本税)に加えて、ペナルティとしての加算税と、利息に相当する延滞税が課されます。「追徴課税」と呼ばれるこれらの負担は、指摘の内容や対応の仕方によって大きく変わります。本記事では、加算税・延滞税の計算方法に加え、指摘を受けたときに「修正申告に応じるか」をどう判断するかを税理士が解説します。
追徴課税の内訳|本税・加算税・延滞税
追徴課税は、次の3つで構成されます。法人の場合は、法人税だけでなく、地方法人税・法人住民税・法人事業税、さらに消費税にも影響が及ぶことがあり、最終的な負担は法人税の追加額だけを見ていると想定を上回ります。
| 区分 | 内容 | 税率の目安 |
|---|---|---|
| 過少申告加算税 | 申告した税額が少なかった場合 | 10%(一定額を超える部分は15%) |
| 無申告加算税 | 期限までに申告しなかった場合 | 15%〜30% |
| 重加算税 | 仮装・隠蔽があった場合 | 35%(無申告は40%) |
| 延滞税 | 納付が遅れた日数に応じた利息 | 年2.8%〜9.1%(2026年) |
重加算税は、売上の除外や架空経費の計上など、事実を仮装・隠蔽したと認定された場合に課されます。過去5年以内に重加算税を課されたことがあると、さらに10%加重されます。
延滞税の計算方法と「期間の特例」
延滞税は、法定納期限の翌日から納付した日までの日数に応じて計算します。2026年中の割合は、納期限の翌日から2か月以内が年2.8%、2か月を過ぎると年9.1%です。数年前の申告漏れが見つかった場合、長期間の延滞税がかかるように思えますが、実際には上限を設ける特例があります。
期限内に申告していた場合、法定納期限から1年を経過した日の翌日から、修正申告書を提出した日(または更正通知が出た日)までの期間は、延滞税の計算期間から除かれます。つまり、多くのケースで延滞税は最長でも約1年分+修正申告後の日数に抑えられます。ただし、重加算税の対象となる不正があった場合は、この特例は適用されません。
加算税は「いつ修正するか」で変わる
過少申告加算税は、自主的に修正申告をしたタイミングによって軽減されます。税務署から調査の通知を受ける前に自ら誤りに気付いて修正すれば、加算税はかかりません。調査の通知を受けた後でも、調査で指摘される前に修正すれば、税率は5%(一定額を超える部分は10%)に軽減されます。
調査の連絡があった段階で、過去の申告に心当たりがある場合は、すぐに税理士と一緒に見直し、指摘を待たずに修正することで負担を抑えられる可能性があります。
具体例で見てみましょう。当初の申告で納めた法人税が300万円ある会社で、申告漏れにより追加の本税が200万円となった場合、調査で指摘されてから修正すると過少申告加算税は20万円(10%)です。これに対し、調査の通知後、指摘を受ける前に自ら修正すれば10万円(5%)、通知の前に修正していれば0円になります。同じ誤りでも、気付いて動くタイミングだけで加算税が大きく変わることが分かります。
これに加えて、法人の場合は法人住民税・法人事業税の追加分と、それぞれの延滞金がかかります。たとえば売上の計上漏れがあれば、消費税の申告漏れにもつながり、消費税の本税と加算税・延滞税も別に発生します。調査の指摘額を聞いた際は、関連する税目も含めた総額で把握しておくことが大切です。
修正申告に応じるか、更正を受けるかの判断
調査の最後には、調査官から指摘事項の説明があり、修正申告を勧められるのが一般的です。ここで押さえておきたいのが、修正申告をすると、その内容について不服を申し立てることができなくなるという点です。
指摘に納得できない場合は、修正申告に応じず、税務署長による更正処分を受ける選択肢があります。更正処分に対しては、処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内に再調査の請求や審査請求ができます。一方で、明らかな誤りについてまで争うと、時間と費用がかかるうえ、延滞税も増えていきます。指摘事項ごとに「認めるもの」と「争うもの」を切り分けて判断することが重要です。
判断に迷うのは、取引の事実ではなく「税法の解釈」が争点になっている場合です。たとえば、ある支出が交際費か会議費か、外注費か給与かといった区分の問題は、事実関係の整理と根拠資料の提示によって、指摘が取り下げられることもあります。調査官の説明をその場で受け入れる前に、根拠となる条文や通達を確認することが大切です。
なお、加算税・延滞税や法人税の本税は損金になりません。追徴額が大きく一括で払えない場合は、税務署に納税の猶予を申請できる制度もあります。
まとめ
追徴課税は、本税に加えて加算税と延滞税がかかり、法人では住民税・事業税にも影響します。延滞税には計算期間を約1年に抑える特例があり、加算税は調査の指摘前に自主修正すれば軽減されます。修正申告に応じると不服申立てができなくなるため、指摘事項ごとに冷静に判断することが大切です。税務調査の立会いや指摘への対応は、税務調査対応サービスへご相談ください。



