会社設立というと登記までに目が向きがちですが、税務上の本番は登記が完了した後です。横浜市で会社を設立した場合、法人設立の届出は税務署・神奈川県税事務所・横浜市の3か所に必要で、それぞれ期限が異なります。設立の流れと、設立後に必ず押さえるべき届出・判断を税理士が整理します。

会社設立までの流れ

大まかな流れは次のとおりです。①会社の基本事項を決める(商号、事業目的、本店所在地、資本金、事業年度、役員構成)。②定款を作成する(株式会社は公証役場での認証が必要、合同会社は認証不要)。③資本金を払い込む。④法務局へ登記を申請する。横浜市内に本店を置く場合、登記の管轄は横浜地方法務局です。登記申請日が会社の設立日になるため、日付を指定したい場合は逆算して申請する必要があります。登記完了後、登記事項証明書と法人番号が取得できるようになり、ここから税務・社会保険の手続きが始まります。

横浜で設立した場合の届出先は3か所

神奈川県横浜市で設立した会社は、①所轄の税務署(国税)、②神奈川県の県税事務所(県税)、③横浜市(市民税)の3か所に法人設立届出書を提出します。国・県・市の3層に分かれているため、税務署にだけ出して県と市を忘れる、というミスが起こりやすい部分です。所轄税務署は本店所在地で決まり、横浜市内でも区によって神奈川税務署・横浜中税務署・保土ケ谷税務署などに分かれます。県税事務所も同様に管轄が分かれるため、本店をどこに置くかで提出先が変わる点は、オフィス選定の段階で確認しておくとスムーズです。税務署への法人設立届出書は、設立の日以後2か月以内が期限です。

期限を過ぎると取り返しがつかない届出

設立後の届出の中で、期限を過ぎると当期の適用を受けられなくなるものがあります。最も重要なのが青色申告の承認申請書です。設立第1期については「設立の日以後3か月を経過した日」と「第1期終了の日」のいずれか早い日の前日までに提出しなければなりません。1日でも遅れると初年度は白色申告となり、欠損金の繰越控除や少額減価償却資産の特例といった青色申告の特典が使えません。創業期は赤字になることが多く、その赤字を繰り越せるかどうかは数年先の税負担に直結します。あわせて、源泉所得税の納期の特例の承認申請書(毎月納付を年2回にまとめられる)や、給与支払事務所等の開設届出書も、早い段階で提出しておくべき書類です。

事業年度の決め方で初年度の負担が変わる

意外に軽視されがちなのが決算月の設定です。設立第1期は、設立日から決算日までの期間になります。ここを工夫すると、資本金1,000万円未満の会社が受けられる消費税の免税期間を最大限に使えます。たとえば4月に設立して3月決算にすると第1期は約12か月確保できますが、4月設立で5月決算にすると第1期はわずか2か月で終わり、免税で使えるはずの期間を短くしてしまいます。あわせて、繁忙期と決算期が重ならないようにする、在庫の少ない月を決算月にするといった実務面の配慮も有効です。設立時にしか決められない事項ではありませんが、後から変更すると手続きの手間がかかるため、最初に検討しておく価値があります。

社会保険・労働保険の手続きも忘れずに

税務の届出と並行して必要になるのが社会保険です。法人は、代表者1人だけの会社であっても健康保険・厚生年金保険への加入が義務となります。年金事務所への「新規適用届」と「被保険者資格取得届」は、事実の発生から5日以内が期限です。横浜市内であれば、本店所在地を管轄する年金事務所(横浜中・港北・横浜南など)に提出します。役員報酬が発生しない場合は加入対象外となるケースもあるため、報酬額を決める段階で判断が必要です。

従業員を雇用する場合は、さらに労働保険の手続きが加わります。労働基準監督署に「労働保険 保険関係成立届」を保険関係成立の翌日から10日以内、公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険適用事業所設置届」を設置の翌日から10日以内に提出します。設立直後は登記・税務・社会保険の手続きが同時並行で進むため、提出先ごとに期限を一覧にして管理するのが確実です。期限を過ぎても提出自体は可能ですが、遡って保険料を求められる、助成金の対象から外れるといった不利益が生じることがあります。

また、設立初年度は法人住民税の均等割に注意してください。均等割は赤字であっても課税されるため、売上が立たなかった期でも横浜市と神奈川県への納付が発生します。横浜市の場合は資本金等の額と従業者数で税額が決まり、事業年度の月数に応じて按分されます。「赤字だから税金はゼロ」と考えていると、初年度の決算時に想定外の納税が生じます。設立時に資本金の額を決める際は、この均等割の区分も判断材料に入れておくとよいでしょう。

まとめ

横浜で会社を設立した場合、法人設立届出書は税務署・神奈川県税事務所・横浜市の3か所に必要です。青色申告の承認申請は設立3か月以内が原則で、遅れると初年度の欠損金繰越などの特典を失います。事業年度の設定は消費税の免税期間に直結するため、設立前に検討しておくべき論点です。設立手続きと設立後の税務は、法人設立サポートへご相談ください。

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