合同会社は設立費用の安さが注目されますが、設立後にかかる年間の維持費を正確に把握している経営者は多くありません。法人として活動するためには、登記費用以外にも税務・会計・社会保険関連の継続的な費用が発生します。本記事では、合同会社の設立後にかかる年間維持費の全体像と、節税に使える経費の種類を解説します。
合同会社の年間必須費用の一覧
合同会社を維持するためには、以下の費用が毎年発生します(ほぼすべての合同会社に共通)。
| 費用の種類 | 年間目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 法人住民税(均等割) | 約7万円 | 赤字でも課税(東京・神奈川等) |
| 税理士顧問料 | 36万〜120万円 | 規模・サービス内容による |
| 記帳代行費 | 12万〜36万円 | 自社で記帳する場合は不要 |
| 決算申告費 | 10万〜30万円 | 顧問料に含む場合も |
| 社会保険料(会社負担分) | 役員報酬の約14%相当 | 役員が社会保険加入の場合 |
| ビジネス口座維持費 | 0〜数千円/月 | 銀行によって異なる |
特に注意が必要なのは法人住民税の均等割です。事業が赤字でも、法人として存続している限り毎年支払う義務があります。神奈川県では、資本金等の額1,000万円以下・従業員50人以下の合同会社の均等割は、県・市合計で年間約7万円です。
合同会社で計上できる経費の種類
法人化の大きなメリットの一つが、個人事業主より経費の計上範囲が広がることです。合同会社で認められる主な経費は以下の通りです。
役員報酬・給与:代表社員(役員)への報酬は、定期同額給与として法人の損金に算入できます。個人事業主では自分への「給与」は経費にできませんが、法人化することで経費化が可能です。
生命保険料:法人で加入する生命保険の保険料は、一定の条件を満たす場合に損金算入できます。特に解約返戻率の高い保険を活用した節税策は代表的な法人節税手法の一つです(ただし、2019年の税制改正以降は損金算入できる割合が制限されています)。
退職金・小規模企業共済:代表社員の退職時に支払う退職金は、適正額であれば全額損金算入可能です。また、小規模企業共済への掛金は個人の所得から全額控除できます(月額最大7万円)。
自動車・通信費・出張費:業務に使用する車両のリース代・ガソリン代・駐車場代、業務用の通信費・出張旅費なども経費計上できます。ただし、業務と私用が混在する場合は按分が必要です。
株式会社と合同会社の維持費の比較
設立費用の差(合同会社約6万円 vs 株式会社約20万円)はよく知られていますが、設立後の維持費はほぼ同じです。主な違いは以下の通りです。
- 決算公告の義務:株式会社は毎年決算公告が義務付けられています(官報掲載費約3〜7万円)が、合同会社には決算公告の義務がありません
- 役員変更登記:株式会社の取締役は原則2年任期で変更登記が必要(登録免許税1万円)ですが、合同会社の業務執行社員には任期制限がなく、登記費用を節約できます
この差額は年間数万円程度ですが、長期的に見ると合同会社の方が維持コストは若干低くなります。
合同会社の設立・維持コストを抑えるポイント
設立後の維持費を抑えるためには、以下の点を意識することが重要です。
記帳の自社対応:会計ソフト(freee・マネーフォワードなど)を活用して自社で記帳すれば、記帳代行費を節約できます。一方で、誤入力や経費判断のミスが生じやすいため、顧問税理士によるチェックは継続することをお勧めします。
休眠会社の選択:事業を一時停止する場合、合同会社を廃業せずに「休眠」させることで、設立時の費用を無駄にせずに維持できます。ただし、休眠中も法人住民税の均等割は課税されるため、長期休眠の場合は解散も選択肢です。
まとめ
合同会社の年間維持費は、税理士費用・社会保険料・均等割を含めると最低でも年間50万円以上が見込まれます。設立前にランニングコストを正確に把握し、法人化によるメリット(経費計上の拡充・節税効果・社会的信用)とコストを比較したうえで判断することが重要です。



